はじめに

筋トレをする人たちの中には、筋肉を大きくするためにたんぱく質を摂取している方も多いと思います。実際に、筋トレとたんぱく質は深い関係があります。本記事では、筋トレとたんぱく質の関係、必要なたんぱく質の量や種類、摂取タイミングなどについて解説します。

1.たんぱく質について

たんぱく質は、筋肉の成長や修復に重要な栄養素であり、筋トレを行う人々にとって欠かせないものです。たんぱく質は、私たちの身体にとって必要不可欠な栄養素であり筋肉の他に、骨、皮膚、髪の毛、爪などの成長と修復に重要な役割を果たしています。

2.摂取量とタイミング

筋トレをしている人は、筋肉を増やすために適切な量のたんぱく質を摂取する必要があります。一般的に筋肉を増やすために必要な1日のたんぱく質量は、体重1kgあたり1.0〜1.6g程度とされています。ただし、運動量や身体状態によって必要な量は異なり、ダイエット時では体重1kgあたり2.4gを摂取して体脂肪の減少と筋肉量の増加が認められた研究も報告されています。

摂取タイミングは起床時から就寝時まで3時間おきに摂取しましょう。なぜなら、血中のアミノ酸濃度は3時間おきに低下し、アミノ酸濃度が低下すると筋肉が分解され、エネルギーに変換されてしまうためです。

3.筋トレ時の摂取量

トレーニング直後に20〜30gを目安に摂取しましょう。ある研究では40g摂取した方が筋肥大の効果があったと報告しており、特に週3回以上の頻度で行う人や1回のトレーニングで全身の部位を鍛える人は40g程度のたんぱく質が必要であると考えられます。

摂取タイミングは筋トレ30分以内の摂取が一般的にゴールデンタイムと言われます。筋トレ直後は固形だと吸収が遅くなるため、ホエイプロテインなどの吸収が早いプロテインで補いましょう。また、筋トレ前の摂取も効果はありますが運動時は消化吸収が遅くなるため吸収の早いプロテインを30分前に摂取するようにしましょう。

4.たんぱく質の種類

たんぱく質は、9種類の必須アミノ酸と11種類の非必須アミノ酸から構成されています。必須アミノ酸は体内で作ることができないため、食事から摂取する必要があります。バランスよく必須アミノ酸を摂取することが重要です。

肉や魚、卵、乳製品などが代表的な動物性たんぱく質には、必須アミノ酸がバランスよく含まれています。一方、大豆製品などが代表的な植物性たんぱく質には必須アミノ酸のバランスが悪いものが多く、特にベジタリアンの方は注意が必要です。

効率の良い筋肥大を促すためには必須アミノ酸が豊富に含まれた動物性たんぱく質を積極的に摂取しましょう。しかし、植物性たんぱく質にも食物繊維やビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれているため、動物性、植物性ともにバランス良く食事を取り入れることが大切です。

5.プロテインサプリメント

ホエイプロテイン

乳清たんぱく質から作られたプロテインパウダーのことを指します。吸収が早く、必須アミノ酸を豊富に含まれており筋肉の合成や回復を促進する効果があります。筋トレ直後に摂取することが推奨されています。

WPIプロテイン

「ホエイプロテイン・アイソレート」の略称であり、乳清たんぱく質から脂肪や糖質を除去し、純度の高いたんぱく質を取り出したものです。乳糖不耐症の人でも飲める傾向にあります。純度が高く低カロリーであることがメリットですが、コストが少し高いというデメリットがあります。筋トレ直後に摂取することが推奨されています。

カゼインプロテイン

乳清たんぱく質とは異なり、牛乳に含まれるカゼインたんぱく質から作られたプロテインパウダーのことを指します。吸収が遅く、長時間にわたってアミノ酸を供給する効果があります。就寝前に摂取することが推奨されています。

ソイプロテイン

大豆から作られたプロテインパウダーのことを指します。乳製品アレルギーや牛肉アレルギーのある人や、ベジタリアンやヴィーガンなどの動物性食品を避ける人にも適したプロテインパウダーです。ホエイプロテインよりは筋肥大の効果は劣りますが、筋トレ直後に摂取することが推奨されています。

エッグプロテイン

卵の白身から作られたプロテインパウダーのことを指します。ホエイプロテインが飲めない乳製品アレルギーの方は摂取することができます。消化吸収が早く、筋トレ後に摂取することで筋肉合成や回復を促進する効果があります。卵アレルギーのある人は摂取を避けましょう。

6.アミノ酸サプリメント

BCAA(分岐鎖アミノ酸)

必須アミノ酸の中でも特に重要なバリン、ロイシン、イソロイシンの3つのことを指します。筋肉合成に必要不可欠なアミノ酸であり、筋肉の分解を防ぐ効果があるとされています。筋トレ20〜30分前の摂取が推奨されています。運動が1時間を超える場合は、1時間おきに5g程度摂取しましょう。

EAA(必須アミノ酸)

EAAとは、人体が自己合成できない9種類の必須アミノ酸を含んでいます。しかし、EAAサプリメントのほとんどはトリプトファンが含まれておりません。その理由として、トリプトファンは副交感神経を刺激する物質であるため、含まれない場合が多いと考えられています。

主にトレーニング前に摂取することが推奨されています。トレーニング直後はプロテインパウダーを摂取する方がたんぱく質の含有量、コスパ共にメリットがあると考えられています。

HMB(β-ヒドロキシ β-メチル酪酸)

HMBは、ロイシンが代謝される際に生成される物質であり、筋肉の分解を防ぐ効果があるとされています。トレーニング初心者に対しては効果があったものの、プロテインパウダーやその他アミノ酸と比較しての効果性に関しては疑問視があります。

7.まとめ

 たんぱく質は、筋肉の成長や修復に必要不可欠な栄養素であり、筋トレをしている人々にとって欠かせないものです。一般的に筋肉を増やすために必要な1日のたんぱく質量は、体重1kgあたり1.0〜1.6g程度とされています。運動量や身体状態によって必要な量は異なりますが、ダイエット時では体重1kgあたり2.4gを摂取して体脂肪の減少と筋肉量の増加が認められた研究もあります。

 摂取タイミングは起床時から就寝時まで3時間おきに摂取し、トレーニング直後には20〜30gを摂取しましょう。また、摂取するたんぱく質の種類にも注目が必要で、肉や魚、卵、乳製品などが代表的な動物性たんぱく質には必須アミノ酸がバランスよく含まれています。植物性たんぱく質には必須アミノ酸のバランスが悪いものが多く、動物性たんぱく質とバランスよく食事を取り入れることが大切です。

 プロテインサプリメントには、ホエイプロテイン、WPIプロテイン、カゼインプロテイン、ソイプロテイン、エッグプロテインなどがあります。また、アミノ酸サプリメントにはBCAA、EAA、HMBなどがあり、それぞれの特徴や摂取タイミングに注目して摂取することが大切です。ただし、プロテインサプリメントやアミノ酸サプリメントを過剰に摂取することは避け、適切な量を摂取するようにしましょう。

8.筆者の推奨

  • 1日のたんぱく質摂取量を体重1kgあたり2.0g程度
  • 動物性たんぱく質を中心に摂取する
  • トレーニング直後は30〜40gのプロテインを摂取する
  • プロテインは主にホエイプロテインを使用する
  • サプリメンテーションはトレーニング前にBCAAを5g程度使用する

栄養素のまとめに戻る↓